「インフルエンザ保険」って入った方がいいの?
「誰でもインフルエンザにかかるから入った方がオトクそう……」
そのような疑問に、現役の救急にも従事する医師であり、資産形成オタクであるわたしから解説をしたいと思います。
paypay(ペイペイ)や三井住友といった大手の企業から「インフルエンザ」「お見舞金」という名前で保険商品の販売が始まっています。
現役医師の視点から、これは必要ないと考えます。
なぜなら、保険は「自己資金で対応できない万が一に備える」ための金融商品だからです。
自分のお金で対応できることにまで保険を利用すると、多くの人は損をするように設計されています。
そうでないと、保険商品は利益がでなくて、なりたたないからです。
それだけでもこの記事は完結なのですが、この保険の中身と必要がないとわたしが考える理由について詳しく解説します。
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「インフルエンザお見舞金」保険の概要
paypayほけんで販売 (住友生命グループ子会社が開発)

(paypayほけんより引用https://www.paypay-insurance.co.jp/promotion/influenza/app/)
保険料をみると、20〜99歳の月額保険料は250円〜です。それより下の年代は保険料が高く設定されています。
冬の期間に4ヶ月ほど加入すれば1,000〜2,000円程度と考えられます。
仮に、解約がめんどうになったり、忘れてそのままにすると、年間では3,000〜6,000円かかる保険ということです。
インフルエンザに保険が必要ない理由
必要ない理由①:保険は胴元 (保険会社)が確実に儲かるギャンブルだから
保険は慈善事業ではありませんから、保険会社は保険商品を売ることで利益が出るように計算しています。
病気にかかる確率や、消費者が払う保険料/受け取る保険金から期待値を出して、保険会社に利益がでるように商品を設計しているということです。
例えば、1人の消費者は保険を契約した翌日にインフルエンザに感染して、払った金額より受け取る金額が多くなるかもしれませんが、消費者全体でみたときには消費者が損をして、保険会社に利益が出るように設計されているということです。
でなければ、保険会社は商品を継続して売ることができないのですから、当然の仕組みといえます。
これって何かに仕組みが似ていますよね。
そう…「ギャンブル」です。
保険会社は「胴元」、消費者は「ギャンブラー」です。
保険は不幸のギャンブルと言われる理由はこういう性質があるからです。
誤解しないでほしいのは、利益を受け取っている保険会社が悪だと言いたいわけではないことです。
保険商品というのは、「起こってしまうと自己資金で対応できないこと」有効な金融商品だと思います。手数料を払っても十分なメリットがあります。
だけど、自分で備えることができるようなことに保険で備えようとすると、保険会社が必ず儲かる仕組みなので、確率的に多くの消費者が損をします。
だから、消費者はインフルエンザ感染が本当に保険でなければ備えられないかを考える必要があります。
わたしの場合、インフルエンザの受診料は保険ではなく手出しで払います。
必要ない理由②:季節性インフルエンザの自己負担は処方だけなら5,000円未満
日本には国民皆保険という仕組みがあり、かかった医療費全体のうち、75歳未満は3割負担で75歳以上で1〜2割負担となっています。
その結果、インフルエンザに感染して、病院を受診して検査・治療を受けた場合にかかる金額は外来受診の場合は5000円以下です。

理由①でも解説したように、保険というのは確率や期待値を駆使して、全体で見ると保険会社に利益が残り、消費者が損をする仕組みになっています。
だから、ちょっと貯金しておけば備えられるできごとに保険で備えようとすると、多くの消費者は損をするようにできています。
インフルエンザの治療費はNHKニュースの引用で示したように外来診療で、自己負担は5,000円程度です。
この保険は入院時に30,000円を受け取ることもできる保険ですが、救急医療にも従事している現場の感覚からするとインフルエンザだけで入院する人は大病院でも年に数人いるかいないかで、仮にいたとしても基礎疾患のある高齢者が大多数です。
30,000円だって多くの人にとっては、貯金で備えられる金額ですし、高齢者の場合は入院費も1〜2割程度ですから、自己負担の少ない病気に保険で備える必要はないと考えます。
保険で備えるほどの金額ではありません。
必要ない理由③:インフルエンザの診断を受けようと無駄な病院受診が増える
インフルエンザは若くて、健康な人のほとんどは食事がとれれば休養をとるだけで、数日で治る疾患です。
発熱したからといって病院でムリに診断をつけなくても、自然治癒が望めるので、病院を必ず受診しなければいけない疾患ではありません。
(※職場や学校から求められて仕方なくという方も多いとは思いますが……)
もちろん、症状がキツイときには受診をした方がいいとは思いますが、ほぼ無症状で近々人に会う予定もなく、発熱だけがあるような状況のときに無理をしてまで病院受診をして、診断をつける必要はありません。
だけど、せっかく保険に入ったのだから損したくないと思う人間の心理から、症状がほとんどない人までチャンスを逃してはならないと、病院を積極的に受診しだす可能性があります。
そうなると、病院は軽症の患者であふれてしまいますから、医療全体の持続性という意味でも保険を利用することがよいことのようには思えません。
必要ない理由④:抗インフルエンザ薬を処方されなければ、保険金はでない
この保険は抗インフルエンザ薬(タミフル、イナビル、etc…)が処方されないと、保険金がでません。

しかし、抗インフルエンザ薬を処方できるタイミングというのはインフルエンザ感染症の中でも限られています。発症から48時間以内とされています。
それを超えるケースの場合は有効性が確認されていないため、一般的に医師は抗インフルエンザ薬を処方しません。
また、軽症で、必要がないと医師が判断する場合も処方されません。
その場合は、いくら保険に入っていても保険金はでませんから、インフルエンザに感染すれば保険金がもらえるという勘違いをしてはいけません。
必要ない理由⑤:インフルエンザを予防する意欲をそぐから
保険に加入しているときにインフルエンザにかかればお金がもらえるなら予防する意欲はそがれます。
だって、「せっかく保険に加入しているんだから、インフルエンザになりたい!」と多くの人が思うのではないでしょうか??
保険に加入した翌日、隣に座っている人が風邪気味だったら、病気をもらいにいこうとしませんか?わたしだったら、もらいにいこうとします笑
インフルエンザにかかってもちょっとキツイだけで、死ぬことはめったにありませんからね。そのように考える人の方が多いんじゃないかと思います。
予防する意欲をそぐという点で、個人だけでなく、社会全体にも不利益を与えうる保険だと思います。
まとめ
「インフルエンザに保険が必要ない」と救急診療医のわたしが考える理由をまとめました。
- 全体では消費者が損をするギャンブルだから
- インフルエンザの負担額は貯金で備えられる程度だから
- 保険金を受けとるためのムダな受診が増えるから
- 抗インフルエンザ薬を処方されなければ保険金がおりないから
- 予防する意欲を削ぐから
救急診療医で資産形成オタクのわたしからみた1つの考え方ではありますが、参考にしていただけると幸いです。
子育てをしながら経済的自立 (働かなくても生活できる) を達成した著者が実践している資産形成の方法や考え方を毎日更新しています。
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あらゆることに保険で備えるのではなく、保険が必要な場面を考える。